こども美術教室がじゅく| 教育目標| 卒業生インタビュー

 

卒業生インタビュー

【Vol.03】 大竹 祐太朗 さん

経歴
東京都立総合芸術高校 美術科 中退
ロンドン芸術大学 セントラル・セント・マーチンズ ファインアート&デザイン
 (University of the Arts London, Central Saint Martins, Foundation Diploma in Art and Design) 入学
現在 18歳 

がじゅくの在籍期間:2007.11月4歳(年少)〜2018.3月中学2年まで 約10年間在籍

ーー中学生までがじゅくに在籍していた、ゆうたろうさんにお話を聞かせて戴きました。
普段お教室では聞けないお話やがじゅく卒業生の素顔などご紹介します。

現在、ゆうたろうさんはロンドン芸術大学に在学中です。イギリスに渡る前の準備期間に、がじゅくのアシスタント講師として後輩の指導にもあたってくださいました。
がじゅくにいた頃のお話や現在は、どんな展望を抱いているのかをお伺いしました。

大竹祐太朗さんポートレート

がじゅくの印象

ーーものごころ付く前から(年少から)がじゅくがすぐそばにあって、自然と通い続けていたゆうたろうさん。がじゅくの印象や当時のご様子はどんなものだったのでしょうか。

Q こども美術教室がじゅくはどんな教室でしたか?
A 基本的には自由に制作できる環境で自分のやりたいことができる場所でした。

Q 子供の頃から、がじゅくの授業以外でも普段から制作していたのですか?
  また、どんな絵を描いていましたか?
A 制作していました。よく絵を描いてたと思います。ダリとか。

Q ダリ?!それは何歳くらいの時ですか?
A 小学校3年生くらいです。
家にアートブックのようなものがあって、留守番などしていたときにずっと眺めてたら、なんでこんな絵を描いているんだろう。と、それがたぶん最初のきっかけでこの道を選んだのだと思います。そこにダリの本もあって、ダリみたいな絵をすきになりました。

Q ダリの絵を模写していたのですか?
A 写していたわけではなく、シュールな感じの絵を好んで描いていました。

子供の頃に描いた作品 子供の頃に描いた作品

子供の頃に描いた作品 子供の頃に描いた作品

Q どんなふうに制作をしたかったですか、それとがじゅくはマッチしていましたか?
A こんなふうに制作したかったというのはあまりなかった。けれど、人に指図されるのが好きではなかったので、そういう意味では自由な教室だったから、マッチしていたのではと思います。

Q 現在の学習システムでは、リモートなど自分で責任を持って勉強する・しないを選択することにも意味がある場づくりがされていますが..スタジオに通うことでの面白さ、メリットはどんなところでしょうか。
A がじゅくの授業はリーモートでは無理があると思う。汚していいなど..。
家で仕事することが増えたりしている中、家だと意外と集中できなかったりします。
環境が半ば強制的に入れかわることでスイッチが切り替わることもある。がじゅくにくると制作もやると。

一番の学び

ーーがじゅくに入って良かったこと 面白かったことなどの思い出

Q がじゅくで、嬉しかった楽しかった思いでは?
A 絵を描くことは好きだったので、それだけ(描けるだけ)で嬉しかったし楽しかった。

Q がじゅくがあってよかったと思うことはありますか。
今(仕事として)でも良いです。(ゆうたろうさんんは7月までアシスタント講師として勤務してくださっていました)
A 小さい頃のことはあまり覚えていないけれど、今アシスタントとして勤めていて、おもしろいと思います。
大人になってくると何でもかんでも理由付けが必要となりますが、そういうのがなく筆を走らせている子どもたちが羨ましい。自分もそういうふうにできたらなと、今思うことはあります。

Q 制作(美術や図工)での悩み事はなんでしたか
A 今になってわかるのはこどもは純粋に描けると話しましたが、だんだん年をとってくると、自分の目に見えているものをリアルに描くところに走ってしまう。それは大人の責任でもあると僕は思う。
そこはすごく僕は悩んでいたというか悩んでいるというか。リアルであるという必要があるのかなと。
子どもって、例えばりんごを描いていたら、現実にあるりんごを描いているのではなく、絵のりんごを描いていると僕は思う。
りんごが青であろうが緑であろうが黄色であろうがそれは何色でも良くて、どんな形でも良くて。そういうのがどんどん大人になってくるにつれ、無くなっている。僕の中では教えている立場でも今悩んでいます。

Q もっと良く見て描いてごらん。と教えていくことも多いのではと思いますが?
A もっと良く見て描くのは、僕の経験から言って、高校生くらいからのほうがいいかなと思います。
父親がリアリズムのような方法を僕に教えてくれて、やるように言われていて、でも結局ほとんど描けない時期もあったりしたので、最初はやっぱり自由に描くのがよくて、海も赤くたっていいし、黒くたっていいし、単純に絵画って楽しいと思った次の段階で見て描くのが一番いい方法かな。

当時の作品と現在の作品紹介

ーーがじゅく在籍中に、制作した作品のご紹介です。

子供の頃に描いた作品 作品:細密画(2013年制作) 画用紙にペン

ゆうたろうさん:あーなつかしい。これ描いたのは覚えてます。
でも、僕全然飽き性なので、一枚葉っぱ描いて、もういいやみたいになってしまったのですけど、でも…ちゃんと描いてますね(笑)

Q ちゃんと描いてますね。どうして仕上げられたんだろう。
A 多分そのプッシュがやっぱり(当時の担当の先生から)あったかからかな^^

子供の頃に描いた作品 作品:都立総合芸術高校在学中に描いた課題(16歳) 画用紙に鉛筆

ーー現在、制作中の作品のご紹介です。
ゆうたろうさんは8月に個展を行いました。
会期 2021年8月24日-29日 場所 ROOM_412(東京都渋谷区桜丘町15-8 高木ビル412号室)
作品はもちろん作者の考えも興味深いものです。

「善悪の彼岸(仮)」(作者の不在より) シリーズ 作品:「善悪の彼岸(仮)」(作者の不在より) シリーズ
「善悪の彼岸(仮)」(作者の不在より) シリーズ 作品:「善悪の彼岸(仮)」(作者の不在より) シリーズ
写真作品 写真作品

今後の展望

Q 大学ではどのようなことをしたいですか
A 自由に、こどもみたいに絵を描くことの楽しさというのをもう一度味わいたいというのはあります。これは大学だけの話ではなく、生涯通して。
向こう(ロンドン)はアートの本場なので、そこに触れたいというのはもちろん大きくて、そういうステージの中で、日本で生まれたというバックグラウンドはしっかり大切にして制作はしていきたいなとは思っています。

Q そのために用意していることは?こういう制作をしようかなとか。
A 制作の内容は、現地で決めようかなと思っています。でも日本にいる間に、日本のことを知っておきたいというのはあって、調べたりしています。
好きな雑貨ブランドのクリエイティブディレクターの方に会ってきてきました。
グラフィックデザイン界では日本一のデザイナーの方なんですが、展覧会をやっていて、会場で説明してくれる抽選があたって、行ってきました。
彼はやはりすごい。日本というバックグラウンドをものすごく大切にしていて、そういうのにやはりあこがれていますね。

Q 将来は何をしていきたいですか?
A アーティストだけでは生活できないっていうのはなんとなくわかっているので、日本のアートを盛り上げようとかは思ってはいないですが、やっぱりこどもを教えている中で思ったのは、単純に筆を動かすということを楽しんでほしい。とか、アートを学びたい人にちゃんと学べる場が、少し日本には足りないなと思っているので、そういう場所を一個にまとめた複合施設みたいなものを作りたいんですよね。
そこに、クリエイティブな職業をしている人とか、美大生とか..まぁ誰でもいいですけど、そういう人たちが集まれば、なにか面白いことがおきるんじゃないかな。 すごく漠然としているんですけど、そういうふうに思っていますね。

Q まだ漠然とした段階ですか?
A ..そうですね..お金が凄くかかる話なので、実現したらいいですけど、それこそ今回展示を見に行ったデザイナーさんになんかに、ちょと頼んでみたいなといった思いがすごくありますね。

Q 後輩の方にメッセージをお願いします。
(これからがじゅくに通おうと思っている子にメッセージ)
A 後輩だとまだちいさいので、がじゅくを検討している親御さんにメッセージがあって、何かというと、こどもにとってぼくは描くとかつくるっていうことは、スポーツと一緒だと思っています。
かばんから絵の具を取り出して、それをチューブから紙に出す、紙の上で絵の具を動かす、その動かす運動が快感なんですね。こどもにとって。
だから別に本当に何描いてもいいと思うんですよ。どれだけ汚してもいいし、とにかく描くことが楽しいって思ってほしくて。
作品のクオリティとか、まぁそこは難しいと思うんですけど、あんまりそういうのは求めないほうがいいっていうふうに思いますね。
楽しくないと興味を持てないですよね。

   ーーなるほど。
美術を通して子どもたちへの思いと、さらにその子どもたちや、美術の将来までも既に考えているのだなぁと感じました。
こんな思いを持ってくれている若い世代がいることに、ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、これからの日本の美術は大丈夫だなと安心しました。
本日は、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。

 
 

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